『静かな豊かさを紡ぐ日々 — 手仕事が息づく暮らしのかたち』
- yoko sakurada

- 9月6日
- 読了時間: 3分

何気ない日常の時間というものは、特に記憶されないことのほうが多いものです。
”私”という歴史の中で、忘れ去られていく日々。
そんな記憶の隙間に溶けていく日常をいかに丁寧に生きるかで、人生の質は大きく変わってくるように思います。
手に取るたび、つくり手の誠実さや想いがそっと伝わってくるモノたち。
それらは、何気ない暮らしに静かな豊かさをもたらしてくれます。
そんなひとつひとつに心を寄せ、モノと静かに向き合いながら、自分の暮らしを丁寧に紡いでいく――
そうした人が、今、少しずつ増えてきているのではないでしょうか。
そんな暮らしの感性を共有する場所が、葉山にあります。
ギャラリー&ショップ『gullam. life & arts.』では、
日常の中に美しさを宿す、クラフツマンシップあふれる日用品を厳選しています。
暮らしの中でふと心に触れる、そんな日用品との出会いを一つひとつ丁寧に紡いでいます。
今回は、オーナー・石倉さんに、豊かな暮らしを育むためのヒントを伺いました。
クラフツマンシップを一言で表すなら「誠実さ」と話す石倉さん。
「うちはモノのセレクトショップではなく、作家さんのセレクトショップです。
ものづくりは結果のモノだけでなく、つくり手の人間性がとても大切。
心惹かれるモノを見つけたら、日本中どこへでもつくり手に会いに行きます。
そしてまずは自分で使ってみる。ショップで取り扱うかどうかの基準は、つくり手や作品に“誠実さ”を感じるかどうかです。」
店内には真摯で落ち着いた空気が漂っています。
心に留まったひとつの器。 「独創的なデザインでありながら主張しすぎず、どんな料理を盛っても美しく映え、我が家のスタメンです。」そう石倉さんが溌剌と語るのは、瀬戸内海に浮かぶ手島(てしま)で生まれた『てしま島苑』の器です。
人口わずか20人弱の小さな島、手島。ここでは陶芸家の松下さんと松原さんが、島の土はもちろん、釉薬の材料となる植物もすべて島産にこだわり作陶を続けています。手島名産の唐辛子をはじめ、見頃を終えたひまわり、収穫後の空豆など、灰からつくる釉薬の素材はどれも島の風景や季節を映し出し、空想をかきたてます。
器を手に取り、その手触りを味わうと、静かに広がるのは手島の自然と、つくり手の信念が織りなす豊かな物語。その奥深さが、たおやかに心に響いてきます。
今日はどの器で何を食べようか——そんなささやかな問いかけが、一日の終わりをゆっくりと彩ります。
夏の野菜をたっぷり使ったサラダ。頬張るそのひと口には、つくり手の静かな物語がそっと添えられています。
器の質感や色の揺らぎは、食卓に広がる静かな物語と、器が紡ぐ人との縁を映し出します。そんな器がつなぐ想いは、つくり手から家族へ、そして家族から子どもへと、静かに受け継がれていきます。
日常に潜む「豊かさってなんだろう」と問い直すに最良な場所『gullam. life & arts.』。
石倉さんが、つくり手の誠実な想いに心を動かされて丁寧に選び抜いたアイテムの中から、
思索の時間のパートナーを見つけてみてください。
葉山『gullam. life & arts』



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